金融庁が提唱する老後資金の資産形成は、各人のライフステージに応じて考える必要があるとしています。それぞれのステージでどんな点に注意する必要があるでしょうか。

金融庁が推奨する資産運用
金融庁のレポートでは➀現役時代 ②リタイア前後 ③高齢期 のそれぞれのステージでの資産形成の留意点についてご提唱しています。
➀現役時代:「長期・積立・分散」というリスクを最小化する投資を始める時期

標準的な世帯というものが存在しなくなってきているため、資産形成に関しても個々人の状況と考え方に大きく左右されるとしながらも、以下のポイントを指摘しています。
A) 少額でも良いので、出来るだけ早くから資産形成を始める。→「余裕ができたら」では手遅れです。
B) 生活資金や、いざというときに備えた資金は、元本の保証された預貯金などで確保し、毎月、一定額を安定的に投資に振り向ける。→私のように意思の弱い方は、給与天引き、またはつみたてNISAのような毎月定額が引き落とされる投資をお勧めします。
C) 成り行き任せでなく、各個人にふさわしいマネープランを作成するために、信頼できるアドバイザーを見つけて相談する。→金融商品を販売していないアドバイザーに有料で相談することで、偏ったアドバイスや金融商品を販売される心配がありません。
D) 長期的に取引できる金融機関を選択する。→超低金利の時代ですので、運用収益に対する手数料比率が高くなっています。手数料率には十分な注意が必要です。一般的にネット系金融機関が有利です。
②リタイア前後:リタイア後の人生の長期化に対応し、金融資産寿命を延ばし、計画的な資産取崩しに向けて行動する時期。

金融庁は定年退職を具体的に意識し始めるタイミングでは、以下のポイントを指摘しています。
A) 退職金(一時金または年金)がある場合、できるだけ早期にその金額や支給方法について情報収集する。→以前のメルマガでも紹介してますが、退職直前まで退職金の額を知らない人がほとんどです。
B) 公的年金等の定期的収入と支出を把握し、資産や負債を見える化することで、老後の生活に十分な資金状況であるかを把握する。→年金受給開始から30年間のライフプランを想定します。
C) 資金が十分でない場合は支出削減だけでなく、就労延長も含め収支改善策を実行する。
D) リタイア後も20~30年の人生が続くことを前提に、長期・積立。分散投資を継続しつつ、計画的な取り崩しをする。
金融庁のレポートでは、B)~D)に関しては、自身の資産と収支に基づくライフプランをよく吟味すると同時に投資リスクについても見直す必要があると指摘しています。現役時代と異なり、修正可能な期間が限られるため、第三者の立場でアドバイス可能な信頼できるアドバイザーに相談することを推奨しています。
③高齢期:資産の計画的取り崩しを実行して、認知・判断能力の低下に備える時期。

このレポートでは、個々人の差が大きいので何歳からを高齢期と呼ぶかは困難であるとしながらも、以下の二点を提唱しています。
A) 医療や介護などの費用を見据えて、自身の心身の衰えを考慮したマネープランを検討する。
B) 誰にでも起こり得る認知判断能力の衰えに備える。→金融資産の管理方針を明確にし、金銭管理を信頼できる者と共有することで、不要な投資や使い過ぎを管理する。
B)についての具体的な方法として、成年後見制度と家族信託という手法が用意されています。
いずれにしても人生100年時代を迎え、公的年金(公助)だけでなく、子供もアテにできない(共助)となると自ら長期間に渡って準備する(自助)が欠かせないというのが、金融庁の提唱する老後のライフプランということです。
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