高齢化の進捗に伴って、日本の高齢者の勤労意欲は諸外国と比較して極めて高くなっていますが、みなさんは何歳まで働く予定でしょうか。

前回のブログでお伝えしたように日本の高齢者の勤労意欲は諸外国と比較して突出してますが、実際に働き続づける心身は維持できているのでしょうか?
心身共に若返る日本の高齢者
下のグラフが示す通り、男女とも高齢者の運動能力は年々改善しており、2000年時点と比較すると高齢者の運動能力は2016年までに約5歳若返っていることが分かります。

左下のグラフが示すように高齢者のインターネット利用状況も高いレベルです。さらに、右下のグラフが示す通り、60~65歳の日本人の「数学的思考能力」はOECD諸国平均の40~44歳に匹敵しています。日本は単なる長寿国ではなく、元気で知的な高齢者が多いという調査結果がでています。
この傾向は今後も続いていくと予想されます。つまり皆さんが現在知っている80歳前後の人々と比較して、個人差はありますが、30年後の80歳前後の人はかなり若々しくなっているということです。

コロナ禍前ですが、平日の朝に自宅近くの駅前を通りかかったら、何やら高齢者の長蛇の列。「一体、何に並んでいるんだろう?」と不思議に思いましたが、なんと、スポーツクラブの開店を待つ人たちの行列でした。引退されたと思われる高齢者のみなさんが、開店と同時にスポーツクラブに吸い込まれて行きました。こうした努力の成果が前述したような運動能力の強化に繋がっているのでしょう。
認知症の増加がもたらす新たな課題
平均余命と健康寿命の関係
平均余命と共に健康寿命も延びてきていますが、残念ながら以下のグラフが示すように不健康な期間は男女ともほとんど変化がありません。いかに健康寿命を延ばすかが、今後の課題になっています。

ところで「健康寿命」の定義は何でしょうか?
「健康寿命とは、日常的・継続的医療または介護に依存しないで、自分の心身で生命維持し、自立した生活ができる生存期間」です。逆に言えば自立した生活ができない期間が男性で約9年、女性で12年強もあるということです。これは平均値なので、さらに長期間に渡り入院や介護が必要な方もいるということです。
「健康上の問題」というのは、病気やケガで寝込んでしまうことだけを意味するものではありません。健康寿命の定義にある通り、「自分の心身」とは、肉体的な健康だけでなく精神的な健康も含んでいます。
金融庁のレポートでは、この健康寿命についても言及していますが、指摘しているのは、認知症の問題です。見た目は元気でも認知・判断能力が衰えてきた人が増加しています。

認知症は特別な病ではなく、個人差はあるものの加齢とともにほとんどすべての人の認知・判断能力は衰えていくものです。

しかしながら、前回もご紹介したとおり、金融資産の多くは、高齢者に集中してきており、左のグラフが示すように、この傾向は将来も続いていくと予想されてます。認知機能の衰えを利用した、特殊詐欺の増加のみならず、金融資産の自由な引き出しや資産運用に制限がかかる可能性が高くなってきています。

認知・判断能力に支障がある人や障がい者の生活や財産を守るために、「成年後見制度」がありますが、上のグラフが示すように利用者は増えてはいるものの、利用率は低く決して普及しているとは言えません。金融庁は、認知症患者の資産管理が、今後、重要な課題となっていくと指摘しています。
#金融庁,#健康寿命,#認知症,#成年後見制度, #高齢者運動能力,#高齢者勤労意欲
Comentarios