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減り続ける年金をアテにしていいの?(0103)

執筆者の写真: 竹下佳孝竹下佳孝

更新日:2022年2月5日


日本は長年、「終身雇用」「年功序列賃金」が続いており、若年層は低い賃金で就労し、年齢と共に賃金が上昇していくという仕組みでした。これは若年層の労働で、中高年の高給を賄っていくという、年金の仕組みによく似ています。人口が増えている状況ではこれで成立していた仕組みですが、人口が減少に転じると破綻する可能性がでてきます。

バブル崩壊後「失われた20年」と呼ばれる景気停滞により、全体の賃金は伸び悩んできました。左下のグラフにあるように、全年齢層でバブル期の収入水準を大きく下回っています。

右上のグラフの「出生年度別 所得代替率」というのは、ある時点で65歳になって年金受給開始した夫婦二人世帯のモデル年金額とその時点での現役就労者の平均収入に対する比率です。1949年生まれの団塊世代は、62.7%なのに、1974年生まれの団塊ジュニアでは52.3%に低下し、それ以降も低下し続けていきます。平均余命は右肩上がりで延びているのに所得代替率は下がっていくと予想されているということです。ただ、巷で言われているように年金財政が直ちに破綻するということは今のところないでしょう。

このブログを購読されている方のほとんどは、「給与所得者」だと思いますので、右上のグラフの緑色とピンク色の合計が受給できますが、個人事業主は緑色部分の基礎年金しか受給できません。支給額全体の中で、この基礎年金部分が非常に大きく減少しています。若いうちに起業したい方は、個人事業主でなく、たとえ社員一人でも法人設立して、厚生年金に加入しておくことをお勧めします。

厚生労働省が「平成29年度 国民生活基礎調査の概況」の中に「所得階層別世帯数の相対度数分布」を掲載しています。上のグラフにあるように、現役就労者の平均所得は、約550万円ですが、これは1.3%しかいない年収2,000万円超の皆さんが平均を押し上げているので、中心値の423万円を目安にするべきだと指摘されています。

社会保険料の従業員負担は80年代前半には8%強だったものが、近年では15%近くまで増えています。増加分のうち約5ポイントは厚生年金保険料ですが、健康保険料負担も増加し続けています。消費税がわずか2%上がることは、メディアや野党が大騒ぎし、注目を集めていますが、給与所得者の社会保険料負担をじりじり増やしても気付く人はほとんどいません。金融庁のレポートでは、所得水準が上がらない上に、そこから天引きされる社会保険料負担が増え、可処分所得を圧迫していくと指摘しています 

左下のグラフにあるようにほとんどの年齢層で消費支出が減少しています。高齢者層に限って見ると、50代→60代で約二割減、60代→70代ではそこからさらに二割減少しています。現在、年金額が比較的多い70代でこの支出レベルですので、足りない老後資金をどう増やすかを考える以前に、少ない生活費で暮らせる知恵を絞る必要があるかもしれません。

金融庁のレポートで指摘している(毎年の不足額約66万円)X(65歳以降の生存年数)を計算し、自分の金融資産と比較して、一喜一憂するのはナンセンスです。不足額を定年までにいかにして蓄えるかより、いかにして収入以内で支出を抑えるのかを考える方が合理的です。

このレポート内の実収入と実支出は総務省の家計調査に基づく平均値ですので、みなさんひとりひとり、状況が異なります。みなさんの定年後の実収入と実支出を正確に見積り、収支黒字になれば、定年までに数千万円の金融資産を持っている必要はなくなるわけです。まずは現在の生活費の内容を把握し、一体いくら必要なのかを認識することから始めましょう。




 #金融庁 #二千万円  #公的年金 #社会保険料負担増



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㈱イデココンサルティング   代表取締役 竹下佳孝

                                                                                       1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP®

                                                                                       宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

                                                                                       宅建業免許:東京都知事(1)第105756号

イデコ行政書士事務所   行政書士 竹下佳孝

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