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退職金はいくらもらえますか?(0104)

執筆者の写真: 竹下佳孝竹下佳孝

更新日:2022年2月5日

定年退職まで、10年以上あるのにこの質問に答えられる方は、未来への備えがかなりできている人です。定年退職した人の三割は「受け取るまで知らなかった」と回答し、二割は「退職半年前まで知らなかった」と回答したそうです。退職直前まで給付額を知らないというのでは老後の生活設計は困難です。

金融庁のレポートでは、「かつて、日本で根付いてきた退職給付制度と公的年金によって老後生活を支えてきたが、退職金給付額は近年減少してきている。」と指摘しています。

下のグラフにあるように学歴別の平均退職金支給額の推移をみると、収入と同様にバブル崩壊から退職給付額は全体的に減り続けていますが、特に高学歴の社員への給付が大幅に減少し、工場等の高卒現業職との差がどんどん縮まってきています。さらに、近年の雇用の流動化により、永年勤続者への退職給付より新規採用の即戦力に労働コストを配分し始めていて、退職給付制度の採用企業数と給付額の減少は続くと思われます。

確定拠出年金など、各自の運用実績で原資の額が大きく異なる仕組みを導入している企業では、「運用実績次第なので支給予定額は分かりません」と人事部門から回答される可能性が高いと思いますが、老後資金の大半を退職給付金だけに頼るのではなく、できるだけ早い段階で、計画的に準備を始める必要があるでしょう。

このレポートでは、金融資産は個別状況に大きく依存しているため、一概に平均値で語ることは困難であると言いながら、左下のグラフにある通り、現在そして将来にわたり、60歳以上の所有割合が増え続けると予想しています。これは右下のグラフにあるように、住宅ローンや教育費などの負担で、30代~40代は負債を多く抱え、所得に余裕がないことに起因しています。

今回は、金融庁の試算した老後資金2,000万円について、すでに定年退職した人たちはどうしているのかをご紹介します。

65歳時点で金融資産はいくらありますか?

左のグラフは、世帯主が65~69歳の高齢者世帯では、夫婦で2,000万円以上、単身でも1,500万円以上の金融資産を所有しているという調査結果を示しています。

この世代の皆さんは、ほとんど60歳で退職しているはずですが、60代後半でもこれだけの資産を保有しているというのは、60歳時点ではもっと多額の資産があったのでしょうか?

金融庁のレポートの中で、メットライフ生命が実施した調査結果を引用していますが、左下のように50代までは老後不安のトップはお金です。右下の表にあるように、40代以上では、必要額は3,000~3,500万円と、金融庁の試算以上の金額が必要であると回答しています。つまり、「老後資金2,000万円必要」というのは決して驚くような話ではなく、すでに多くの人はそれ以上必要だと感じていたわけです。マスコミと野党に「公的年金の不備」を煽る材料にされただけのようです。

何歳まで働きたいですか?

定年後もなんらかの形で仕事を続け、60歳どころか65歳で引退したいという人は少数派です。それ以上働きたいという人が約八割を占め、働けるうちはいつまでも働きたいという人が四割を超えています。


下のグラフのように、実際に60~64歳で、男性は八割近く、女性も半分以上が就労し、65~69歳でも男性の過半数と女性の三分の一は働いています。現時点でもこのくらいの就労率ですので、今後も60代以降の就労率は上昇を続けていくと思われます。これは諸外国と比較しても突出して高い比率です。60歳で定年退職された方の多くは、退職金や自助努力で蓄えた金融資産を、60歳以降も働き続けることで、減少させないように頑張っているというのが現実のようです。「公的年金支給開始までは働かないとならないな」と必要に迫られて働く人も多いですが、前述したとおり、働ける限り働きたいという勤勉な日本人像はまだ健在のようです。

もし、「60歳あるいは65歳で隠居したい」とお考えになるなら、早くから老後資金の準備を始める必要があるでしょう。




#高齢者就業率,#金融庁,#2000万円問題,#高齢者保有資産

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㈱イデココンサルティング   代表取締役 竹下佳孝

                                                                                       1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP®

                                                                                       宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

                                                                                       宅建業免許:東京都知事(1)第105756号

イデコ行政書士事務所   行政書士 竹下佳孝

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