金融庁のレポートでは、過去のデータに基づいてリスクが少ない比較的安全な資産運用方法を紹介しています。自社の金融商品を販売しようとしている金融機関のアドバイスを聞く前に、まずは金融庁の提案を知っておく必要があるでしょう。

「長期、積立、分散」の有効性
金融庁が推奨する「資産寿命を延ばす」方法について、このレポートは以下のように事例紹介しています。
内外複数の金融商品に分散投資
これは長期にわたり、一定金額を、複数の投資商品に分散投資し続けると、5年ではマイナスになる可能性があるが、20年で見るとプラスに収斂し、そのバラつきも少なくなるという理論です。
左下のグラフは、1995年から、毎月一定額を内外の株と債券6つに一定額を投資した場合(赤線)と国内の株と債券に半分ずつ投資して場合(青線)と定期積立預金した場合(緑線)の比較です。明らかに元本保証の預金より、証券投資、それも分散した方が優位な結果です。
また、右下のグラフは保有期間が5年だけだとマイナスになる可能性があるが、マイナスの場合は売却せずに20年間保有するとプラスに収斂するということを過去の実績で説明しています。

短期運用でなく長期で運用し続ける
以下の図が示すように、さらに期間を40年間として、試算すると日経平均株価に連動する投資信託だけに積立投資した場合53%の収益。ニューヨークダウに連動する投資信託に半分ずつ投資した場合は212%となっています。
この図を見て分かるように日本のバブル期には圧倒的に収益性が高かった日本株ですが、90年代後半からは、逆に米株が大きく伸びています。結果的に日本株と米株はトレードオフの関係になっていたため、リスクを分散しながら収益率を高められたということになります。

金融庁のレポートでは、証券投資は、長期にわたり、一定額を積み立て購入し、商品を内外に分散すればするほど、収益率が上がる確率が高くなり、損失を出す可能性が低くなって、多くの人にとって好ましい資産形成の在り方であるとまとめています。ただ、信託報酬等の恒常的に発生する手数料は、実質利回り減少に大きな影響を与えることを認識しておく必要があると指摘しています。
時間の分散でリスク軽減
「長期・積立・分散投資の有効性」の中の積立投資は、金融商品の種類の分散でなく、時間の分散によりリスクを軽減する方法です。
実体経済とかけ離れたバブル期の狂乱株価の時に購入した株は、生涯、元本割れのリスクはあります。日経平均が4万円直前まで上がった、1989年末に株を一気に購入した方は、未だに元本割れています。これは、株価がピークの時にまとめて投資したからです。投資タイミングを初心者が見極めるのは至難の業です。金融業界のプロでもハズレます。そのため、「長期に複数の金融商品に投資するのは分かった。でもいつ始めたらいいんだ?」という疑問が湧いてきます。「まだ下がるのではないか?」「今、始めたら高値掴みになるのではないか?」と心配になる方もいらっしゃるでしょう。
その悩みを解決する方法が、積立です。
以下のチャートのように、株価が変動する場合、「700円の時に一気に600株購入し、1,400円になった時に全株売却したら三ヶ月で倍増ではないか!」と感じる人は博打好きの方ですね。残念ながら金融のプロでもこれだけ値動きする株の価格を予想することはできても的中させるのは至難です。ましてや情報量が限られている素人はさらに的中率が下がります。

そこで、一気に購入するのでなく、分散購入していくことでリスクを減少させることができます。上記の例では、毎月末に定数ではなく定額購入していくと、半年後には総投資額は同じなのに定数購入の600株より5%以上多い632株保有でき、1株あたりコストは@1,000円から@949円に下がります。
どうでしょうか。証券投資されたことのないみなさんは、始める気持ちになりましたでしょうか? 「でもどうやって始めたらいいか分からない」という方向けの初心者でもできる証券投資についても今後のブログでご紹介してまいります。
#金融庁,#長期分散投資,#積立投資,#ドルコスト平均法, #証券投資
Opmerkingen