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長生きがリスク?(0102)

執筆者の写真: 竹下佳孝竹下佳孝

更新日:2022年2月5日

2019年6月の金融庁のレポートが指摘する「長生きリスク」とはなんでしょうか?

今回から麻生元財務大臣が受取拒否した金融庁のレポートの中からか留意すべきポイントについてご紹介してまいります。


現在満60歳の人の約半分は90歳以上まで生存

日本の平均寿命は、右のグラフが示すように、年々延びてきていて、男性も80歳を超えています。ただこれは、0歳から死亡するまでのすべての出生者の平均ですので、平均寿命より、平均余命を考える必要があります。金融庁のレポートの中で、2015年時点で60歳の人の余命を推計しています。左下の表が示すように4人に1人は95歳まで生きると推定されてます。90歳までは半数近くが生存しているという計算です。平均寿命の延びと同様に平均余命もどんどん延びてきています。「老後の生活費用2,000万円」は、たまたまこの「95歳」を必要生活費の試算に使っただけですので、4人に3人は該当しないことになります。

 しかし、残念ながら寿命は自分で決めることができません。望まなくても100歳まで生きているかもしれません。「備えあれば憂いなし」ということになります。

 








 参考までに厚生労働省が発表している、『令和元年簡易生命表』(左のグラフ)による、主な年齢層の男女別平均余命の一覧を添付します。みなさん、どうでしょうか? 「結構、先が長いな~」と思う方、「もう時間がない」と思う方。どちらでしょうか?

たとえば、現在50歳の方の場合、65歳が定年だとしても、男女共に定年後の人生の方が長くなる計算です。





急速な核家族化の進行

 金融庁のレポートでは、左のグラフが示すように『核家族化』を指摘しています。1975年には全世帯の6割以上の高齢者は、未婚の子供または既婚の子供家族と同居していました。ところが、2017年には子供と同居世帯は3割に半減し、老夫婦のみまたは単身高齢者が6割を占めています。


 

 急速に進む「晩婚化」と「少子化」にともない、持ち家比率が急減してきており、結婚して子供と親と持ち家に同居するという「昭和のモデル世帯」は空洞化しつつあると指摘しています。たとえ子供がいても「子供は頼りにならない」「高齢になっても自立していかないとならない」という状況になってきています。未だに人気番組ですが、「サザエさん」や「ちびまるこ」のような家族は、日本全国に一割しかいないということです。もし、みなさんが、子供家族と持ち家に同居されているなら、老後の不安の半分は無くなるかもしれません。

 「『持ち家』と『賃貸』はどちらが得か?」という議論はよく耳にします。三世代同居が子孫へ受け継がれていくなら、借家でも問題ないかもしれません。ただ、前述したように、お子さん家族が同居する可能性は年々低くなっているのは全国的な傾向です。「孤独死」が社会問題化してきているため、高齢者、特に単身高齢者は新たに賃貸住宅を探すことがだんだん難しくなってきています。


 このレポートの試算に使われた高齢夫婦無職世帯の実支出のグラフをもう一度ご覧ください。よく見ると、住居費がわずか13,656円しかありません。これは既にローンを完済した持ち家がある方がほとんどであるということが想定されます。つまり、賃貸派の方は、平均的な支出がさらに月額数万円必要となってくることになり、年間不足額は66万円から大幅に増える可能性があります。「賃貸派」の皆さんの主張も理解できますが、ご自身または配偶者が単身高齢者になった場合を想定すると持ち家があるということは「長生きリスク」がかなり軽減されることになります。

 お住まいのエリアにもよりますが、家賃を毎月10万円以上自己負担している方は、すぐにでも中古物件を探して、購入することをお勧めします。住宅ローンが歴史的低金利になっている今は絶好のチャンスです。「社宅で住居費1万円しかかかってないのに住宅ローンを毎月10万円以上払うのはばからしい」という方は、退職したら社宅を退去しなければなりません。会社からの特典を活用し、同等の物件を賃貸した場合の家賃と社宅使用料の差額を住宅購入資金として貯蓄しておきましょう。それだけ貯蓄しておけば、退職時には住宅を購入できるくらいの資金になっているはずです。



 #金融庁 #二千万円問題 #長生きリスク #持ち家派 #賃貸派

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㈱イデココンサルティング   代表取締役 竹下佳孝

                                                                                       1級ファイナンシャル・プランニング技能士・CFP®

                                                                                       宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士

                                                                                       宅建業免許:東京都知事(1)第105756号

イデコ行政書士事務所   行政書士 竹下佳孝

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